今まで助けてくれたぶんだけ、わたしもお返ししたい。

助けてくれたぶん以上に、もっともっと役に立ちたい。


泣いているわたしに、やさしく手を差し伸べてくれたときのように。

叩かれそうだったわたしの前に立って、守ってくれたときのように。


わたしも、悠琳くんにつらいことがあったとき、味方になって助けたいんだ。


せっかく出会えた大切な人をわたしの人生から切り離すなんて、たとえお父さんのためだとしてもできない。

やっぱり、悠琳くんと距離を置くなんてできないよ……っ。


気がついたら、涙があふれ出ていた。


『それに、工場のほうもすこしずつだけどいい方向に向かってて、お父さんもやりたいことができそうなんだ。こっちの心配はしなくていいからね』


わたしが泣いているのに気づいて、お父さんの声がよりいっそう、温かくなった気がする。