◇
その日の夜。わたしはお父さんに電話をかけた。
『そっかあ。璃衣はすごいなあ。あのタカミ社長の息子とお友だちになるなんて』
わたしは、テストの成績が上がったことや、悠琳くんとよく話すようになったことをお父さんに報告した。
お父さんとの電話はいつも、わたしの学園生活の報告からはじまるんだ。
合同授業のことや、悠琳くんがタカミ社長の息子だったことも、その日の夜に電話で話した。
さすがに十和田さんの話はできなかったけど。
悠琳くんがタカミ社長の息子だって判明したとき、お父さんは『そんな子まで通ってるのか!』と、電話ごしでもわかるくらいびっくりしてた。
悠琳くんと友だちになったなんて言ったら、びっくりしすぎて倒れちゃうかなと心配したけど、考えすぎだったみたい。
でも、感動してるようすは電話から伝わってくる。
「わたしがすごいんじゃなくて、悠琳くんがいい人なだけだよ。住む世界が違うわたしとも友だちになってくれるんだもん」