鷹見くんは、わたしと十和田さんのあいだに立った。

こっちに背を向けて……まるで、わたしを──わたしたちメイド科を守ってくれるみたいに。


「ったく、こりねえな」


鷹見くんがあきれたように言うと、十和田ははっとしたように、振り上げた手をおろした。


「暴力女ってだれのことよ!」

「あんただよ。言葉は刃物って知ってる? 言葉でも、人を傷つけたらりっぱな暴力。罪に問われなくても傷害事件だよ」

「ふんっ、おおげさな……」

「おおげさじゃねえよ。実際にそれで死ぬやつもいるんだ。言葉には気をつけろ」


鷹見くんの言葉を受けて、十和田さんは口もとに不敵な笑みを作った。


「言葉に気をつけるのは、あなたのほうよ。執事科の分際で──」


とそのとき。


「お、おい……これ」


ひとりの男子が声を上げた。

それを発端として、ざわざわとまわりがにぎわっていく。


「え、冗談だろ」

「だけど、どう見たって……」

「音量上げろ」


彼らは、玄関ホールに設置された大きなモニターを見ているようだった。