よかった。こまかくやぶかれたわけじゃないから修復できそう。
「それ、そんなに大事なの?」
貼りつけ作業をしていると、鷹見くんがそばに立ってテーブルに手をつき、のぞき込んできた。
「うん。お父さんからの手紙だから」
「手紙ってめずらしいな」
M学では生徒ひとりひとりにスマートフォンが配られるけど、外部とのやりとりは禁止されている。
どうしても親や友だちに連絡を取りたいときは、寮長から許可をもらって電話をする。メールはできない。
だから、大切な人との記録を手もとに残したいなら、手紙しか手段がないの。
手紙なら、中身のチェックが入るけど、いつでも送ったり受け取ったりできる。
みんなは電話でじゅうぶんだと言うけれど、わたしは形として残したいから、手紙でも連絡を取るようにしているんだ。
「これは、入学して初めてお父さんから届いた手紙なの。わたしの、お守りなんだ……。これがあるから、がんばれる……っ」
自然と涙がこぼれ落ちた。
手のこうでぬぐっても、次から次へと涙が出てくる。