よく見ると、本当に幻想的でキレイ。
M学の校舎もお城みたいだけど、比べるときらびやかさが違う。
鷹見くんは、とある部屋に入った。
ここはなんの部屋だろう?
入るときにプレートを確認するのを忘れちゃった。
棚とランプとテーブルと椅子と……だれかの部屋かな?
あ、ベッドがあるから保健室だ!
「あった。これ使いなよ」
棚の中を探っていた鷹見くんが、わたしにタオルを差し出してきた。
「勝手に使っていいのかな?」
「いいんじゃね」
白いタオル。ふわふわして気持ちいい。
こうしているあいだにも、十和田さんにかけられた水が床にぽたぽた落ちている。
お言葉に甘えて借りることにした。
「ああ、それと、これ。返す」
鷹見くんはそう言って、テーブルに紙きれの束を置いた。
お父さんの手紙……。
部屋を見まわすと、職員用のテーブルにセロハンテープを見つけた。
ちょっとお借りします、と心のなかでつぶやいてから、やぶれた手紙の修復に取りかかる。