「な、に……?」

「もうあの時の俺とは違うので」
 
 そのまま湊にじっと見つめられ、自分の顔が徐々に熱くなっていくのを感じる。

 手に伝わる湊の体温が身体中にじんわり広がり、湊に自分の敏感なところを優しく触れられた記憶が蘇る。

 なんで湊に触れられただけで、こんな風になってしまうのだろうか。その吐息を近くで感じたい。その唇の柔らかさを感じたい。全身を彼に優しく触れて欲しい——。

 
「なんか、顔赤いみたいですけど大丈夫ですか?」

 湊の声でハッとし、紫遥は笑って誤魔化した。
 いつのまにか食い入るように湊の顔を見つめていたようだった。

「だ、大丈夫!この部屋があったかいからかな!あはは!」

 紫遥はブラウスの襟元を掴み、火照る身体にパタパタと風を送った。