3人でタクシーに乗り込み30分、湊が住む一軒家に到着した。

 他を圧するがごとき立派な門構えに、日本にあるとは思えない、まるでハリウッドの高級住宅街にあるようモダンで豪勢な邸宅を前にし、紫遥と真夏はゴクリと唾を飲み込んだ。

 湊に案内され、2人がおそるおそる家の中に足を踏み入れると、映画でしか見たことのないような、ラグジュアリーな空間が広がっていた。

 「天井高ーい!あ!あっちに螺旋階段がある!プリンセスがドレス着て降りてくるやつじゃん!」

 真夏はこの異空間に、遊園地に来た時のようにはしゃいでいた。
 天井が吹き抜けになっているからか、声の響き方も紫遥が住んでいるアパートとは全然違う。

 紫遥は時折見る豪邸の前を通る度に、こんな家に住むのって一体どんな人なんだろう、ものすごい大きい企業の社長さんとか?それとも長者番付に乗るようなものすごい資産家とか?と、妄想を膨らませていたが、実際に住んでいたのが高校時代の後輩だったとは思いもしなかった。