昼時だからか、中庭で話し込んでいる生徒もちらほらいる。こんな中、真夏を連れ出したら変に目立ってしまうじゃないか。

 紫遥がソワソワしながら、妹の姿を探していると、玄関の方から真夏が走ってくるのが見えた。

「紫遥ちゃん!」

 そう言って大きく手を振る真夏を見て、急いでドアを開ける。

「ちょっと!そんな堂々と出てこないでよ!」

「ねえ、ちょっとどういうこと?この車何?なんで突然学校早退してなんて……」
 
 話している途中で、真夏がようやく紫遥の後ろに座る男の存在に気付いた。

「え!?MINATO!?」

「ちょっと!」

 慌てて真夏の口を抑えるが、そんなことはお構いなしで、目をキラキラと輝かせながら、紫遥の手の中で何かを叫んでいた。

 そして、なんとか興奮状態の真夏を車に乗せ15分後、真夏と湊はすっかり打ち解けてしまっていた。