“貪りつくようなセックス”をするために、紫遥のことを思い出しながら撮影に挑んだせいか、確かに今の湊は、紫遥のきめ細やかな肌を恋しがっていた。

「ねえ、湊……」

 結菜が色っぽい声で誘うも、湊はしれっとした顔で結菜の手を離し、立ち上がった。

「お前のいうとおり、人肌恋しくなってきたから、もう帰るわ。お疲れ」

「ちょ、ちょっと!湊!?」

 湊は動揺した結菜の呼びかけに見向きもせず、足取り軽く控え室に向かった。

 頭の中は早く帰って紫遥に会いたい、紫遥の作ったご飯が食べたい、ただそれだけだったのだ。