出されたお菓子と一緒に頂いていると、三十分ほど経ってから和登さんが「お待たせ」と、購入した指輪の袋を持って私の元へ来てくれた。
車に戻り車内で和登さんにお礼を言う。
「和登さんありがとうございました。私、何にもできなくて」
「そんなことないよ。指輪選んでくれたし。全部必要なことは済ませようか。まず、俺の両親と亜矢の両親に挨拶して、ノースエリアの一軒家の物件と契約して、婚姻届け出して、引っ越ししたいと思ってるんだけど亜矢は大丈夫?」
「え!? 一軒家ですか?」
「うん。今電話で不動産に電話したら即日入居の一軒家が何個かあって契約できるって言ってたから。もうホテルにも出ていくことは伝えたし」
さも、当たり前のように予定を立てていく和登さん。
「私は今のホテルで全然大丈夫です! それに、両親に挨拶だなんて……」
「俺の親は、俺がベリが丘に越してくる時に一緒に越してきたから、会うのはそれほど手間じゃないと思うし」
「い、いえ、そういうことではなく……和登さん、私達、半年しか一緒にいないんですよ?」