この先、亜矢ちゃん以外に言うことはないであろうプロポーズ。付き合ってもいなければ、まだ出会って間もない。そんな相手からいきなりプロポーズをされた彼女は、

「…………え?」

 当然呆然としている。その表情からするに、やはり喜んではいないし何を言ってるんだという目を向けていた。

「……それは、私が脳ドックをベリが丘総合病院で受けるための契約結婚ですか?」

「…………え?」


 『契約結婚』そんな言葉を言われるなんて思っていなかった。脳ドックを受けてもらうために結婚しようだなんて微塵も考えはしなかった。

 どう返事をすればいいか悩んでいると、

「脳ドックのための契約結婚であれば、先生のご好意で引き受けますが、そうでない場合はお断りさせてください」

 ――――当然、俺のことを好きではない亜矢ちゃんは、俺の真剣なプロポーズには答えてくれようとはしない。