「え?」
莉緒香の言葉に耳を疑った。そしてすぐに、
「私、家柄的にもお嬢様ってわけじゃないし、お金持ちでもないのに無理だよ!」
否定すると、莉緒香は「そんなことないよ」と言葉を被せた。
「私の旦那、年商数百億の企業の社長なの。旦那のツテなら何人でも紹介できるし。結婚したらそこそこのお金持ちになれると思う! だから、ね!?」
「結婚はしたいけど……でも、お金持ちとだなんて考えられないよ。莉緒香はなんでそこまで私に結婚を勧めるの?」
問いかけると莉緒香は静かに口を開いた。
「ベリが丘はとても良い街。皆落ち着いていて、気さくでいい人が多いわ。けれど、今亜矢に話してるみたいに本音で話せる人がいないの。亜矢がベリが丘に住んでくれたら嬉しいなって思って……」
……莉緒香。
莉緒香は要領が良いから、この街でも楽しくやっているんだと思っていた。