全体でのカンファレンスを終え、朝の回診をした後に手術室に移動する途中、それとなく本田先生に小川くんの指導医交代のことを相談してみる。

「本田先生、髄膜腫のオペがんばりましょうね。最近業務どうですか? 小川くんとやれてますか?」

 本田先生は渋い顔をした。

「最近オペはやってなかったから不安で。羽倉先生サポートお願いしますね」

「はい、もちろん。頭部CTでみたところ、できた髄膜腫はそんなに大きくありません。練習した通りにやれば大丈夫です。リラックスしていきましょう」

「はい、そうですね……」

 本田先生は今日のことで頭がいっはいなのか、小川くんに対しての質問の返答がない。なので、再度問いかける。

「本田先生、小川くんの指導どうですか?」

 本田先生は体をビクつかせ、「えっ、小川の指導!? それが大変なんだよ、覚えも悪くてさー」小川くんの愚痴をこぼし始めた。

「じゃあ僕が指導医変わりましょうか? ちょうど誰か指導したいと思っていましたし」

「え!? 羽倉先生、受け持ち患者たくさんじゃないですか。そんな暇ないでしょ!?」

「僕の担当患者を一緒に回診して、もっと患者さんとコミュニケーションも取ってほしいですし、色々覚えさせたいんです。できることならオペにも入ってほしいですし」