仁田先生の想いに答えるというわけではないけれど、できることならずっと羽倉先生と一緒にいたい。

 ……一緒にいたい。

 フォークを置き、仁田先生の真剣な眼差しを感じながら自分の本音を曝け出した。

「仁田先生……私、羽倉先生といたいです……でも、不安なんです。万が一羽倉先生と付き合うことができたとしても、家柄が違いすぎて、私は羽倉先生に相応しくありません」

 願望と不安を一緒に吐き出すと、仁田先生は「でたー、『相応しくない』を理由に断ろうとするの、もう私はうんざりよー」と、頭を抱えた。

「私、それで今まで散々フられてきたからだいぶ堪える。いつの時代よ。今の世、そんなの気にしないわよ」

「でも、莉緒香は医者の恋人は肩書きが大事って……」

「でも、今、亜矢ちゃんの前に座ってる医者が『肩書きは必要ない』って言ってんの! じゃなきゃ芸能人も一般人と結婚したりしないでしょうよ」

 仁田先生はいつも『確かにそうだな』と思う返しをしてくる。

 私の不安を一瞬にして消してくれる。