「妊娠初期は約二ヶ月間の十一周までですが、体調が不安定な時期でもあるので、その間くれぐれも無理をさせないように。いいですか!? 羽倉先生。アナタに言ってるんですよ! 妊娠初期は流産しやすいんですからね」


 先生は和登さんにキツく忠告をする。和登さんもつられて「分かりました」と返事を返した。


「自分の飯くらい自分で用意して。咲村さんには栄養あるもの食べさせてくださいね。いいですか!? 羽倉先生!」

「はい、大丈夫です。無茶はさせません。それより僕に恨みでもあるんですか? 猿渡先生」

「世の中の男性に不満があるだけですよ。危ないって言ってるのにあれしろこれしろと……自分のことは自分でやれ。働かせるな。ストレス与えるなって言ってやりたいですね」


 どうやら産婦人科の猿渡先生は、世の男性に不満があったようだ。


 エコー越しで画面を見ると、母親になるんだという実感が湧いてきた。


 さっきまで不安でいっぱいだったのに、こうして画面を見ているからか、和登さんとの子どもを授かることができて自然と涙が溢れた。


 こんな幸せ、歩んでしまっていいんだろうか。