和登さんがマイク越しで声を上げると、会場は一斉に静まり返った。

「一人ひとりと挨拶をしたかったのですが時間がないため、マイクを使って失礼します。ありがたいことに、良い御縁をいただきまして結婚いたしましたことを、この場をお借りし、ご挨拶させていただきます。僕のプライベートの苗字は妻側になりますが、ベリが丘総合病院では名を変えずに『羽倉和登』として頑張っていきますので、どうぞ今後ともベリが丘総合病院をよろしくお願いします」

 和登さんと一緒に深く頭を下げる。すると、和登さんから『もういいよ。付き合ってくれてありがとう』と、感謝の言葉が聞こえてきた。 

 会場内に拍手が巻き起こっている状態で、和登さんはスタッフにマイクを返し、会場内から退出した。

 緊迫した会場内とは違って、外はとても癒やされる。

 大きく息を吸う和登さんにつられ、私も息を吸う。やっぱりこの街の空気はとても美味しい。


「亜矢、俺と出会ってくれてありがとう」

「私も。和登さんと出会えて幸せです」


 今までも、この先も、和登さんは私の憧れで、私の大切な人。

 そんな和登さんと、このラグジュアリー溢れる、憧れた街で過ごしていく。