ハンドルバッグを手に持ち、和登さんが差し出してくれている手を取りパーティ会場まで向かった。

 会場の広さはとても大きく、中には何百人と来ているように思える。

 和登さんと同じような年代から七十代くらいの人まで年代は様々だ。大企業の社長や資産家の奥様方はとても美しく品がある。

 和登さんが私を連れて中へ入ると、周囲の視線は一気に和登さんに向いた。そして、待ってましたと言わんばかりに男性陣が和登さんの元へ寄ってくる。


「羽倉先生! どうぞどうぞ、こちらへ!」

「羽倉先生、来週入院する私の母が……」

「いつも、テレビやニュースでご活躍拝見してます! 世界の羽倉先生とまさかこの場で出会えるとは!」

 和登さんはもみくちゃにされながら、隅の席へと誘導されてしまった。来て早々、この場にポツンと取り残されることになるとは思わなかった。

 なにより、こんなに和登さんの取り合いになるなんて思いもしなかった。

 さすがは有名なドクター、羽倉先生だ。