「――は、はい! ずっと大切にします! で、でも高すぎて怖いので、特別な日にはめたいです……」

 和登さんは大きく「よっしゃ!」とガッツポーズをした。頼りになるし、優しいし、男らしいし、なんでもこなすハイスペックな男性なのに、こういう一面が垣間見えるところが、最高に愛おしい。

 この一面は私だけ知っておきたい。

「再来週、資産家や企業家が集まるパーティーがあってね。俺もそこに呼ばれてるんだけど、皆パートナーを連れてくるんだ。無理にとは言わないんだけど、亜矢もこの指輪付けて俺のパートナーとして一緒に参加してくれる?」

 和登さんが誘ってくれたパーティーは、以前仁田先生が言っていた大使館のパーティーだろう。

 パートナー……そんな偉い人達に私を紹介してもらえるなんて。今から緊張でどうにかなってしまいそうだ。

「もちろんです。いいんですか?」

「うん。赤間さんは今日みたいに家で留守番しててもらうけど」

 してやったりみたいや表情をする和登さん。

 さっきまでかわいい笑みを浮かべていたのに、こほんと咳払いをし、私に真っ直ぐな目を向ける。

「……ここ泊まれるしさ、赤間さんいないし。よかったら泊まって行かない? 俺、明日仕事休みなんだよね」

 和登さんの言わんとしていることが、なんとなく雰囲気で察した。恥ずかしくて、

「はい」

 か細い声で返事をする。