「私も苦しかったです。和登さんのこと、大好きなのに半年で離れなきゃいけないから、深入りしないように半年で離婚をずっと自分に言い聞かせてました。……ごめんなさい」

 悔しくて情けない。

 和登さんの顔を見ることができずに、下を向いて涙を流していると、和登さんは私の左手の薬指を触った。


「ツラい思いさせてごめん。亜矢、顔あげてくれる?」

「で、でも私……今、顔ぐちゃぐちゃで……」

「……わかった。ちょっと待ってね」


 私の左手の薬指から結構指輪を外した和登さん。次にはめられたのは、私が以前サンプルで付けさせてもらっていた一千万円の指輪だった。

 ビックリして顔を上げると、和登さんは「受け取ってくれる?」と、気恥ずかしそうに私に問いかけた。


「でも、えっ、これ……私達が行った次の日くらいには、完売したってニュースで……」

「うん、知ってる。ニュースになってたよね」

「なんでここにあるんですか?」

「亜矢と選んだときこっそり買ったから。亜矢に渡した指輪、亜矢が選んだとはいえ、俺の親や仁田先生から散々安物の指輪って批判受けてたのずっと申し訳なくて……亜矢が選んだ指輪がイヤとかじゃないんだ。でも、ちゃんと亜矢が欲しがってる指輪を渡したかった。これ、受け取ってくれる?」