手術前日に担当看護師がカテーテルを足の付け根から入れるから綺麗にするね、と、念入りに拭いてくれた。

 一緒のタイミングで「開頭する部分の髪の毛も少し剃らせてね」と、残りの髪で隠れるように、必要最低限のところだけを剃っていく。

「私、丸坊主にされるのかと思ってました」

「頭を切る部分が大きかったらそうなるんだけど、咲村さんの場合は大丈夫よ」

 剃り終えて、自分の頭から一部分の髪の毛が無くなったことを実感した。赤間さんから「全然目立ちません」と声をかけられ安心する。

 仁田先生にちゃんと和登さんと向き合うといったものの、あれからまともに会話ができていない。

 手術の前日は少しくらい話せる時間はあるだろうか。

 そうこう話していると、私の部屋のドアがノックされた。うちの両親かと思ったけれど、ドアが開けられた先に立っていた人物は和登さんのご両親だった。

 お義父さんとは初対面だけど、お義父さんの顔つきからして和登さんの面影がある。きっと、いや、絶対にこの人が和登さんのお義父さんだ。


「亜矢さん、初めまして。和登の父です」