仁田先生はずっと私の味方でいてくれた。
 私を友達とも言ってくれた。皆、仁田先生とお近づきになりたいと思っているに決まっている。

 そんな人が私に今まで優しくしてくれたことは、絶対、一生忘れない。

「和登さんとは、私の脳ドックが終わる半年間だけ結婚生活をするといった条件で結婚しました」

「それで?」

「この半年間、私にとても良くしてくれる和登さんを間近で見てきたので、これ以上私には時間を割いてほしくないと思ったからです」

「羽倉先生から少し聞いた。羽倉先生、ご両親とはぎこちなくなったって言ってたけど、亜矢ちゃんと一緒にいれるって嬉しそうに笑ってたよ。亜矢ちゃんはなんで一人で決めちゃうの? なんで羽倉先生と話し合おうとしないの?」

 怒りに満ちた表情で私を見る仁田先生。

 こんな顔を向けられて当然のことを言ってしまった。


「羽倉先生、亜矢ちゃんの手術が終わったら医者をやめるよ」

「…………え?」

 仁田先生が何を言っているのか分からなかった。

 和登さんが医者をやめる? なんで?

「や、やめちゃダメです! そんなの、誰も望んでない!」