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　十時より手術開始となるため、念入りに手を洗い、手術着に着替える。

　仁田先生、本田先生には手術時の助手、小川先生は見学希望のため、手術室の中で台に乗って見学してもらうこととなった。

　よくテレビなどで目にする手術室を上から見下ろす小部屋などは、当院では遠くて見にくいという理由で設備されていない。

　配信カメラが設置されているため医局室などで遠隔でも見学が可能だが、今日の手術室での見学はその場の空気感も込みで見たいといった小川先生の強い希望だ。

　手術室の中へ入ると、手術をしないはずの小川先生が何故か誰よりも一番緊張していた。それもそのはず、手術する人間を身近で知っているんだ。いつもの手術ではない。

　俺も額に汗が滲む。本田先生は緊張からか足がガクガクと震えていた。どうやら、手術恐怖症は未だ改善されていないらしい。すかさず、

「本田先生、そんなへっぴり腰で手術しないでもらえます！？　亜矢ちゃんは私の唯一無二の友人なんだから、万が一なことが起きたら許しませんからね！」