本田先生は賑やかに騒ぐ仁田先生や柳先生を見て「これだからチーム羽倉はーもう好きにしてください」と、心なしか胸をなで下ろしていた。


 ――この、チーム羽倉含め、ベリが丘総合病院の先生達だったら絶対に成功する。だって皆優秀だから。


 今、目の前で不安げな顔を浮かべる亜矢に告げる。

「手術はチーム羽倉が主導になって行うから、俺達を信じてほしい」

「よろしくお願いします」

 亜矢が手術に同意してくれたことによって、改めて手術の日取りが決定した。亜矢はそのまま入院となり、俺はベリが丘総合病院の医局室に泊まり込み、仁田先生と本田先生と一緒にオペの練習をする。

 俺がいない間に亜矢に何かあったらと思うと怖くて、仕事を切り上げたらいれるだけ亜矢の側にいた。そんな俺に、

「私は大丈夫なんで、和登さん、ちゃんと休んでください」

 と、やわらかく笑いかける。

「もし仮にオペが失敗したとしても、私、和登さんに手術してもらえたこと自慢できます」

「少しは俺を信じろ」

 まるで人生の最後の日みたいなことを言う亜矢。

 こんな綺麗な個室にいたって、綺麗な外を眺めたって、術前は誰だって不安な気持ちなる。無理もない。

 けれど、俺を信じてほしい。

 これからも信じて側にいてほしい。