「MRIの方は……分かるかな? ここに黒い影があるの」
見せていただいた脳の画像に映り込んでいたのは、黒い影のようなものがぷっくりと膨らんで映っていた。
ごくりと息を飲み、「はい……」と答える。
「脳動脈瘤は血管だけを見るMRAの画像の方が分かりやすく映ってて、ほら、ここ、わかる? 亜矢ちゃんのは少し大きいんだよね。3ミリ以下の脳動脈瘤は破裂の心配はないんだけどね、これは……その倍はあるね。多分6ミリくらいかな。脳動脈瘤が破裂したら半数以上が寝たきりか、亡くなってしまうの」
「…………はい」
つまり、仁田先生が言いたいことは、私の脳動脈瘤はいつ破裂してもおかしくないということだ。
「通常、脳動脈瘤は無症状のことが多いんだけど、亜矢ちゃんめまいとかの症状があるって話してくれてたから、やっぱり原因はこれだろうね……仮に脳動脈瘤の症状が出る場合は物が二重に見えたり、めまいや頭痛だったりするから」
めまいだけではなく、たまに物が二重に見えたりするのも一致していた。