赤間さんは悪気がなさそうな感じでサラッと言いのけた。

 赤間さんの和登さんを見る態度は随分と変わり、一緒に生活している今ではすっかり、どうとも思わなくなったらしい。

「お待ちの方ーどうぞー」

 診察室の入口で仁田先生が私達を呼んでいた。

 赤間さんと一緒に診察室の中へと入ると、仁田先生は「そのイスに座ってね」と、イスに座るように誘導してくれた。仁田先生の近くのイスに腰掛けると、

「それではお名前の確認から致します。お名前をお願いします」

 仁田先生が口を開いた。


「咲村亜矢です」

「はーい、ごめんね、念の為の確認だから」

 仁田先生は「名前を言ってもらう決まりなの」と言いながら、マウスを手に取り画面に目を向けている。

「今日色々検査をさせていただたので、分かる範囲でお伝えしますね。こっちの画像がMRA検査の分でこっちの画像がMRIなんだけど……」

 『なんだけど……』と、仁田先生の言葉が切れたことにより、私の脳に何かしらの異常があることが伝わった。

 …………やっぱり、私の脳は通常と違うんだ。