「……その間、亜矢様をお一人にしろとおっしゃるのですか?」

 赤間さんは小川先生に冷たい目線を向ける。

 すかさず、「赤間さん、小川先生は赤間さんの都合を心配して言ってくれてるんだよ」とフォローすると、何故か小川先生が「あっ!」と、声を出した。

「あなたが赤間さんでしたか! ……ふふっ」

 何故だろう、小川先生は赤間さんの名を確認しただけなのに、小川先生の笑みは赤間さんにトドメを刺した感が半端ない。赤間さんも良い気はしなかったようで、

「……なんですか? そんなに私の名は笑える名前でしたか?」

 と、不満そうに小川先生に問いかけていた。

「い、いえ。失礼しました。羽倉先生からお話は常々お伺いしておりましたので……ぶふっ」

 小川先生の笑みが抑えきれていない。

 いったい和登さんは小川先生に赤間さんのことをどう話したのだろうか。気になって仕方がないけれど、更衣室の中に入るように誘導されてしまった。

「時計や腰回りのベルト、ピアスなどといった金属類と、金属のついた下着やヒートテックなど着られている場合は脱いでください。あと、コンタクトや化粧は…………」

「してないです」

「それなら良かったです。検査前は落としていただく決まりでしたので。それでは僕はここで待機していますので、中でその青い検診着に着替えてください」