和登さんが「亜矢の脳ドックは仁田先生が担当してくれると思う」と教えてくれていたために、緊張していた心はほんの少しだけ和らいでいた。
和登さんは他の仕事があり、入れるかどうか分からないと言われてしまった。
けれど、和登さんがいないほうが逆に安心かもしれない。
鞄以外の私の荷物は赤間さんが持ってくれ、指輪を外してジュエリーボックスへとしまい、無くさないように机の隅に置いた。
赤間さんが呼んでくれたタクシーに乗り込み、ベリが丘総合病院へと到着した。病院はとても大きく綺麗で、病院に来られている患者さんもとても品が良い人達ばかりだ。
高そうな服に高級バッグを持っていたり、髪の毛を細かくセットしていたり、あまりの品の良さに、ここが病院なのか疑わしくなる。
「向かいましょうか、亜矢様」
「はい」
予約は十時三十分。今は十時。余裕を持って来ることができた。
「亜矢様、受付はあちらです」
赤間さんがいてくれて助かった。
こんな広い病院では受付するのにも一苦労してしまう。