和登さんに触れてもらえないのは悲しいけれど、こんな和登さんが見れるなら悪くないかもしれない。

 赤間さんの部屋を覗くと、テレビにソファーに棚にテーブルにと、色々と生活していくには十分な物が揃えられていた。散々追い返そうとしていたのに、きちんと赤間さんの部屋の物も揃えてくれているあたりが和登さんの優しさを感じる。

 赤間さんから「ありがとうございます」とお礼を言われると、恥ずかしそうに「足りないものあったら遠慮せずに言ってください」と頷いていた。

 ――さすがは赤間さんだ。

 家中をいろんな洗剤を使い分けて掃除をしている。辺は一面ピカピカだ。夜には一緒に御飯を作り、三人でぎこちなく夕飯を済ませた。

 私のベリが丘での住所変更や、個人情報に関わる物が全て変更でき、ようやくここで生活していくという実感が湧いてきたような気がする。