赤間さんの私を見る目は本気で、本当に和登さんを奪いたいんだということが伝わってくる。けれど、私も和登さんとは離れたくない。

 私も和登さんが好きなんだ。

 それに、

「随分とそちら側の都合が良いことを言われていますが、和登さんのお気持ちは無視ですか?」

 そう質問をすると、赤間さんは顔を強張らせた。顔が引きつってしまっている。赤間さんがわかりやすい人で良かった。

「こう言ってはなんですが、和登さんはご家族の縁を切ってまで私に害が及ばないように、私のことを一番に考えてくれていました」

 言われっぱなしは納得できない。

 和登さんが言うことは納得できるけど、赤間さんが言うことは全然納得できない。和登さんをなめくさっている。

「私の両親でさえ、祖父の死は遺産入ってきてラッキーくらいにしか思っていないと思っていたので、和登さんがご両親に縁を切ってまで怒ってくれたのが嬉しかったんです。私は当時まだ保育園に通っていて幼かったですが、祖父のことが大好きだった感情はずっと残ってますから」