なんでも、赤間さんを見兼ねた和登さんのお義父さんが、こっそり和登さんに電話でお願いしてくれたらしい。
和登さんのお義母さんは、和登さんから縁を切ると言われて荒れ狂っているそうだ。
「お気に入りといえど、普段はお皿の一枚や二枚、誤って割ってしまったとしてもすぐに許してくれます」と悲しげな顔をして教えてくれた。
私が結婚するなんて言わなかったら、こんなことにはならなかった気がする。
お義母さんが赤間さんを許せないのは、私が和登さんと結婚するからだ。
和登さんだけじゃなく、周りの人まで傷つけてしまっている。
やっぱりもう少し考えたらよかった。和登さんのためにも慎重に動くべきだった。
「スミマセン、私が和登さんと結婚したばかりに……」
「そう思うなら今すぐ和登様と別れることができますか? 羽倉家は和登様の結婚には反対する者はいません。どんな女性を連れてきても受け入れると奥様は以前おっしゃっておりました」
「……どんな女性でも」
「はい。奥様は、あなた以外の女性、極端に言えば、この私、赤間でも良かったのです」