「……え、羽倉家の使用人、ですか?」

『うん。使用人をつけることは亜矢にも言ったと思うけど、羽倉家からここに仕えるように親父に言われたらしく今、赤間さんが家に来てるんだ』

 羽倉家のご両親に挨拶に行ったときに私を睨んでいたあの女性の顔がチラつく。赤間さんはあの人だ。あの人が今からここに……

「わ、わかりました……」

『亜矢は赤間さんと一緒にベリが丘に戻ってくることにはなるけど、大丈夫?』

「……はい、大丈夫です」

 本当は大丈夫じゃない。
 だって私はあの人に嫌われてる。

 私は赤間さんと上手くやっていけるんだろうか。





 私の連絡先を聞いたのだろう赤間さんが、私にLINEで【お世話になります、赤間です。羽倉家の使用人をしておりました。和登様からご住所をお聞き致しまして、今タクシーで近くまで来ています】と連絡が入った。

 ベリが丘からタクシーで来たのだろう、赤間さんも元はお金持ちの家の出なんだろうか。