「こっちへ来て座りなさい」

「はい。失礼します」

 お義父さんは俺の顔をまじまじと見つめていた。そこに亜矢が割って入るかのように「とりあえず飲もう。お父さんはビールで、和登さんは車だからお茶ね」と、温かいお茶を出してくれた。

 お義父さんにビールをお酌をする。

「……キミのことは知っているよ、テレビに良く出ていて有名な先生だね。そんな先生が何故うちに? 亜矢は何かの病気かね?」

 俺のことはお義父さんにも知られいたようだ。

 だけど歓迎されていないことは分かる。亜矢の病気うんぬんは置いておいて、俺はさっそく本題へ入った。

「存じていただけて嬉しいです。単刀直入に申し上げますと、亜矢さんとの結婚の承諾をしていただきたく参りました」

「…………んん? キミはモテるだろう? 医者だし、顔もいいし、頭もいい。なぜ亜矢なんだ?」

「僕は小さい頃、亜矢さんの祖父の咲村さんと、花岡総合病院で同室でした。そのときは僕はまだ中学生でしたが、咲村さんには良くしていただきました」

 俺は咲村さんのことを話し始めた。