手土産も買い、亜矢の地元まで車で向かう。
一時間半ほど車を走らせ亜矢の実家へと着いた。木造の一軒家で、亜矢に「狭くてすみません」と謝られたが全然そんなことないと思う。
亜矢が家の玄関を開け、「ただいまー」と声を発すると、亜矢のお義母さんと思われる人が玄関まで出迎えてくれた。
「おかえりなさい! ……あらっ!? 羽倉先生!?」
どうやら俺のことを知ってくれていたようで、亜矢のお義母さんは俺を見て顔を赤くしていた。亜矢と似ていて、ほんわかと和む雰囲気を醸し出している人。
「初めまして。いきなりお邪魔してスミマセン。これ、よかったらどうぞ」
お義母さんに手土産の品を差し出すと、「これってベリが丘のお土産品じゃない!」と嬉しそうにしていた。
家の中へお邪魔させてもらう。
亜矢にお仏壇があるのかを聞き、お供え物として購入したお菓子を、そっと取り出しお供えして手を合わせる。
咲村家の先祖の遺影が壁上に並べられており、咲村さんの遺影も飾られてあった。
亜矢と一緒にリビングへ向かうと、亜矢のお義父さんと思われる人が座っており、落ち着かない様子でタバコを吹かしていた。
テーブルには手間隙かけて作られたと思われる料理がずらりと広げられていた。
「初めまして、羽倉和登といいます。いきなりお邪魔してスミマセン」
お義父さんに頭を下げる。
亜矢の父親は気難しい顔で俺を見ていた。その表情にひんやりと汗が滲む。