「虹湖、ほんと大きくなったなぁ」


アヤお兄ちゃん、頭ナデナデしないで!


「逃げんな。8年ぶりなんだから、兄として抱きしめさせろ」


ネオンお兄ちゃん、強引に抱きしめないでってば!



「ネオン離れなさい。虹湖が困ってるでしょ?」


「アヤの方こそ、虹湖にベタベタしすぎなんだよ。ガキの頃だって、プリンス笑顔を顔に貼りつけて虹湖を独占して」


「虹湖を家から連れ出して、迷子になって警察のお世話になったのはどこの誰だっけ?」


「小1だったんだから、しょうがないだろ?」


「虹湖は頑張り屋で、いっつも笑顔で前向きで、ほんと可愛くて」


「俺たち二人で、よく取り合いをしてたよな」



えっ、そうだったの?

お兄ちゃんたちに溺愛された記憶なんて、残っていないよ。



家族全員で住んでいた頃の思い出は、お母さんに怒鳴られたことばかり。

私を監視するお母さんの目が気になって、怒られないかビクビク生活をしていたせいだとは思うけど