最後に会ったのは、私が5歳の時だよ。
『小3だったお兄ちゃんたちは、私に優しかったような……』くらいの、あいまいな記憶しかないの。
お母さんと一緒に、お兄ちゃんたちは出て行っちゃって。
一切連絡をくれないから「お兄ちゃんたちは、妹の私のことが嫌いなのかな?」って、涙を流す日も数えきれないくらいあって。
『ファンという立場でいれば、いつかお兄ちゃんたちは私に笑いかけてくれるかも!』
尊い推しとしてあがめることで、淋しさをまぎらわしてきたんだよ。
「どうした虹湖。考え事?」
「お兄ちゃんたちに再会できて、感激で固まっちゃんだよな? 甘えさせてあげるから、こっちにおいで」
ニマニマほほ笑むお兄ちゃんたち。
8年越しの再会を果たした妹を、溺愛しまくりたい。
そんなシスコン風の笑顔の花が咲いていて、私は困惑してしまう。