「お父さんがね、シアタールームを作ってくれたの」


「そんなのが作れるの? お父さんすごいね!」


「思春期の娘に好かれたくて頑張ったって、お父さんは頭をかいてたけど」


「アハハ。可愛いパパだ」


「それでねお友達を呼んで推しのライブDVDを見ればって、お母さんがすすめてくれて」



娘の趣味に理解のある、なんて良いご両親。

娘に無関心なうちのお父さんとは、大違いだ。

桃花ちゃんがほがらかで優しいのは、親に愛されているからなんだろうな。



「本当にお邪魔してもいいの?」


「私の方こそ、来てくれてありがとうだよ」


「それなら行く行く! じゃあ急いで家に帰るね。ビビシャワのぬいぐるみとペンラを持って、桃花ちゃんのお家に参戦するから」



ハートがトランポリンの上を飛びはねるくらい、大はしゃぎな私。



「にこちゃん、何と戦う気? 面白い、アハハ~」



桃花ちゃんの笑い声が嬉しくて、私は桃花ちゃんの肩に自分の腕をぶつけないと気がすまない。