「何度言ったらダンスがうまくなるの! 私の子でしょ! ちゃんとしなさい!」
発狂するお母さんにほっぺをぶたれても
「私、がんばるね」
涙があふれそうになるのを我慢して、なんとか微笑んでいたし。
でも、私の頑張りが実を結ぶことはなかった。
両親の離婚が決定。
お母さんはお兄ちゃん二人を連れて、家を出ていくことになったから。
今でもはっきりと覚えている。
家を出ていくお母さんとお兄ちゃん達を、玄関先で見送った日のことを。
「虹湖~ 私のカワイイ虹湖~」
涙を滝のように流しながら、私の頭をなでてくれたお母さん。
ブワっとわきあがった、お母さんに甘えたいという欲望にあながえず
出て行かないで!
心の中で叫びながら、私はお母さんのおなかにしがみついた。
「もう虹湖ったら、相変わらず甘えんぼうなんだから。お母さん、涙が出てきちゃったじゃない」