「お母さん、お誕生日おめでとう」


画用紙いっぱいに描いたお母さんの似顔絵を渡しても


「もう、私の誕生日だって言うのにがっかりさせないでよ。虹湖は歌やダンスの才能だけじゃなく、絵の才能もないのね」


手をおでこに当てながら、絵を返してきて。


「お兄ちゃんたち二人は才能のカタマリなの! それなのに虹湖はなんでこんなにクズなの? あんた見てるとイライラするの! 早く私の前から消えてちょうだい!」


みんなに隠れて私を怒鳴り散らすのが、日常茶飯事(にちじょうさはんじ)で。




5才児の私なりに、頑張っていたんだよ。

お母さんに好かれたくてたまらなかったから。



言いつけ通り、幼稚園の後も土日もお友達とは遊ばなかった。

歌とダンスのレッスンに通って。

勉強をして。

家のお掃除もして。