魔力を持つ人は資格を取ることで魔法を行使する権利を得る。
 逆にいうと、資格なしに魔法は使えないのだ。

 魔力のランクも出自に関係ないとは言われるけれど、伝統的に学業を修められるのは貴族だけだったので、貴族の方が魔力が強いという偏見はどうしても現代でも拭えない。
 平民だてらに魔力を使いやがって、みたいに言っちゃうと今は差別だって怒られちゃうけどね。表には出さずにそう思っている人は多く、平民というだけで上級魔法職に就くのは難しいと言われてきた。

 その流れが変わったのは30年前。
 王立魔術師団長キーリー・ジキタリス様が旗振り役となり施行された能力者支援法により、平民出身者の魔術学園進学も当たり前になったのだ。

 ーーそんな難しい話は置いといて。
 とにかく、「平民が魔術学校に通うのが許されたのは歴史が浅い」ってことだけ覚えておいてくれたら助かるかな。

 私、フェリシア・ヴィルデイジーは前述の通り、奨学金を取って魔術学園に入学した。
 15歳の春ーー今年だ。

 木火土金水とある基礎元素の中で、私の適性は水。
 それ以外はほんのちょっとしか使えない。