私は背筋を伸ばし、深呼吸して辞儀をした。

「突然ごめんなさい。私学籍番号C49のフェリシア・ヴィルデイジー。同期のカイ・コーデリックを知らないかな」

 緊張しながら話しかけると、女子学生二人は顔を見合わせあい、私に辞儀を返してくれる。

「私はカシス・ルールィ。同期よ。カイさんは知らないけれど……」
「私はマオ・アトマ。私も知らないわ、何があったの?」

 軽蔑や拒絶ではなく、心配するような目で向けられてホッとした。
 ちゃんと礼儀を覚えれば、そこから始まる関係もある。教えてくれてありがとうカイ……
 じんとする気持ちになりながら、私は話を続けた。

「さっきまで一緒にいたカイがいないの。着替えにいくと言って……見ていないかな」
「カイさんは……見ていないわね。だってあの人目立つもの」
「私たちが見かけたのはアンジャベルさんとお友達くらいで……」
「アンジャベルさん……?!」

 私は血の気が引くのを感じた。
 あの人たちはカイにすごく怒ってた。
 絡んできた時、おとなしく引いてくれたのも、たまたま店長が休憩しながら見ててくれていたから。
 私は二人に尋ねた。

「教えてほしい、どっちで見かけたかな?」

 顔色で色々と悟ったのだろう、彼女たちの顔も真剣になった。