「おつかれっしたぁ〜。
お先失礼しまぁす」
12月24日午後4時。
今日は悠介とデートの予定だった。
急に空白になってしまった
この時間をどうにか埋めようと
遊べる相手を
片っ端から当たってみたが、
何せクリスマスイブだ。
恋人たちのクリスマスイブだ…。
結局、あたしが行き着いたのは
バイトのおばちゃんのケータイだった…。
「おいおい…。
イブだぜ、希美ぃ〜…」
帰り道。
街がクリスマスカラーに染まり
誰もが温かい笑顔を浮かべている
中央通りを、一人
ため息まじりにつぶやきながら
早足で進んだ。
賑やかに輝くイルミネーションも
今年はあたしの心を
冷たくするだけだった。