「ちょっと杏奈っ!!
店の中で叫ばないでよ〜…」






「そんなことより
悠介のやつ何なんだよ!?
つか誰そのオンナって!?」






全く反省の色がないご様子で…。





「知らないよ…。
つか悠介のことは
もういいって。
呆れすぎて
涙も出なかったし」






「でも、希美…」






半分は強がり。




だけどそれより。




杏奈が、
本気で悠介に怒ってくれたことが
嬉しかった。



親友って
こーゆーことなんだなぁって…






杏奈、ありがと。





「ま、希美が
もういいって思っても、
あたしは許さないから。
次あったら一発殴ってやる!!」






杏奈の逞しい横顔を見て
あたしは自然と笑みがこぼれた。




「なーに笑ってんの?」







「んーんっ。
何でもなぁーいっ!!」







「はっ!?
わけわかんなぁーい!!
今笑うシーンじゃ
ないんですけどぉっ」







もやもやが立ち込めていた
あたしの心が、
少しだけ晴れた気がした。






だけど、それは、



忘れたころにやってくるのであった…──。