「希美聞いてよぉ。
達也マジありえないんだよー!!」




あたしの横で眉間にしわを寄せて
大きな声で愚痴を吐くのは、
高校からの親友、
山本杏奈(ヤマモト アンナ)だ。




今は杏奈とマックで
お茶をしているところ。



「あたしの誕生日
忘れんだよ、あいつ!!
愛する彼女の誕生日忘れるとか
マジ精神狂いすぎだっつの!!
希美、一発しめてやってよ!!」





怒りを表し
早口でしゃべりきった彼女は
相当ご立腹のご様子…。



「いぃな〜。
希美と悠介は。
ずーっとラブラブって感じじゃん?」





何の悪気もなく
そのセリフを放った彼女を
責めるつもりはないけど、
今のあたしには少し…
いや、けっこう重い言葉。





脳天気にシェイクを飲む杏奈に
あたしは重い口を開いた。




「いや…
そのことなんだけど…ね?」






「何?」





口ごもるあたしに、
杏奈から強い視線が
送られてくる…。






言いづらい…。






あたしは杏奈から視線をそらして
シェイクを一口飲んでから
言った。




「あたしー…──。
悠介と、…別れたんだ」







沈黙が流れる。






「…はぁあッ!?」




杏奈の声が店内に響きわたった。





数人の客と定員がこっちを
見た。