「……実は今朝一番で坂本課長が俺を訪ねてきた」

「え?」

「お前にプレゼン資料を作ってもらえるか確認と、この支社へお前が飛ばされてきた経緯を詳しく聞いてないが、自分が大切に使うので、支社に残して欲しいと言ってきたんだ」

 驚いた。坂本君、私がここに来たときからきっと色々知ってたんだね。それなのに私には一度も聞いてこなかったし、そんな素振りを見せない。本当にいい人だな。

「今日は坂本の案件をやることを許す。このファイルを俺も確認する時間が欲しいからな。ファイル何冊ある?」

「えっと……三冊です」

「俺がそれを確認して本部へ連絡するのに今日は丸一日かかりそうだ。その代わり、お前はプレゼンで坂本が案件を獲得できるようアシストしてこい。命令だ」

 じっと私を見据えて言う。私は敬礼した。