確かにそうだ。総会後一ヶ月は秘書課にいた。雑用をしていただけですが……。

 それより、この人は何を言ってるんだろう……大体、事の原因を作ったのは誰?そして、専務と私をこんな目に遭わせたのは誰?無性に腹が立った。こらえきれなかった。

「私なんかより専務のことのほうが重大事です。本当にひどかったんです、崇さんが海外へ行かれてからすぐに……」

 私の恨みがましげな声と目を見て、彼はため息をついた。

「……俺を恨んでるんだな。確かに全部俺のせいだよ、父の周辺が何かするかもしれないと思っていた。まさか、お前まで巻き込んでいるとは思わなかったんだ。本当にすまない。専務のことだが……俺が海外へ行く前に、何かあったとしても父の好きにさせろとおっしゃっていたんだ」

「そんな、どうして……」

「今は父の周りの力が大きくて、俺には対抗するすべがないからだ。いずれ、俺の時が来れば巻き返せるから、今は我慢して継承すべきだとおっしゃっていた」