「支社長」

「はい」

「彼女を重宝しているようで悪いが、近いうちに香月は本部へ戻らせるからそのつもりでいてくれ」

「……は?」

「ええ?!」

 私は声が裏返った。な、何言ってるの?支社長が目を白黒させて、私と御曹司を交互に見た。私が青くなっているのを見て、支社長がつばを飲み込んで言った。

「……あ、あの。それはどういう?異動というか、内示も、本部から一切来てませんし、その……」

「香月がここでやることはほぼ終わりだ。佐々木部長の更迭も決まった。今後は本部へ戻って俺の側でやることがある。いいな、香月」

「そ、そんなこと……できません」