「頼まれていた資料は出来上がっています。確認頂いてからプリントアウトしようかと思ったんですが、お時間ありますか?」

「香月さんがやったなら問題ないだろ。すぐにプリントアウトして部屋へ二部持ってきて」

「わかりました。コーヒーでいいですか?」

「ちょっと待って。崇さん、コーヒーでいいですか?」

 ドアを開けて支社長が確認した。彼はうなずいた。私を見もしない。

「じゃあ、コーヒーを頼むよ」

「わかりました」

 私が給湯室へ行こうとすると、後ろからパタパタという足音がした。

「香月さん」

 振り向くとやっぱり難波さん。そうじゃないかと思った。目がハートになっている。やっぱりね。さっきからすごい目で見てたもの……。