彼女はここのインフルエンサー。服も、髪型も本当に可愛いけど、口が悪い。その彼女が興奮している。

 目をくるくるして嬉しそうに話し出した。

「香月さん。すごいですよ、見ました?本当にイケメンです。さすが御曹司!」

「……まだ見てないよ」

 彼女は私の二年後輩。他の営業さんの事務と佐々木部長の庶務も兼ねている。

「難波。お前は相変わらずエリートとイケメンが大好きなんだな」

「当たり前です。坂本課長だって美人系が大好きのくせして、よく言いますよね」

「な、お前、いつ俺がそんなこと言った?」

「言ってないけど、目で追いかけてるじゃないですか」

 真っ赤になった坂本課長は、いつものように難波さんと言い争いを始めた。はあ……。

「難波、何言ってんだ。俺はそんなの身に覚えない」