「あー、くだらない。女どもはエリートとイケメンが大好物だからな。香月、お前も暇だったら見に行ってたのか?」

「坂本君、どうせ私がそういうのを見に行かないの知ってるでしょ」

「そうだな。香月は本部から他のエリートイケメンが来たときも見に行かなかったもんな。そういうのは見慣れてるから、そうじゃない俺のほうが落ち着くんだろ?」

「そうだね。坂本君見てるとほっとするよ」

 笑って彼を見た。すると、彼も嬉しそうに答えた。

「そうだろ、そうだろ。俺みたいな普通の人間が一番一緒にいるとほっとするんだよ。でも残念なことに、ほっとするのってモテないんだよな」

「そう?坂本君はいい人だからそのうちすぐに彼女も出来るでしょ?友達だって多いじゃない……」

「友達ねえ……俺が欲しいのは友達じゃないんだけどね。普通で、いい人か……」

 走って戻ってきた難波さんが、ふわふわの巻き毛を綺麗に手でなでつけている。