衝撃で声が出なくなった。

 御曹司って……崇さんのこと?え、どうして帰ってきたの?まだ予定より、大分早いじゃない。というか、なぜ支社に来る?おかしい、嫌な予感しかしない。

 そして……佐々木部長の出社停止とはどういうこと?もしかして、辰巳先輩に送った資料が役に立ったなら、どうして連絡してこないんだろう。もう先輩……結局もう私の事なんてどうでもいいのね。

「さっき、社食で人だかりできていてびっくりしたよー。でもね、にこりともしないくせにすごいイケメンだよ。さすが御曹司だね」

「……」

 無愛想でイケメンだったなら間違いなく崇さんだ。そう、笑わないけど、整っているからイケメンなのだ。

「菜々ちゃん?どーした?顔色悪いよ……疲れたの?」

 私の頭が『会いたくない、どうしよう』というふたつの言葉で埋め尽くされたとき、坂本君が入ってきた。